生物統計

生物統計学を学ぶためのおすすめ書籍:初学者から実務者まで

臨床試験や疫学研究、製薬業界など、医療・生命科学分野において生物統計学は欠かせない基盤です。統計解析の理論だけでなく、実際の研究設計やデータ解釈に応用できる知識が求められます。この記事では、生物統計学を体系的に学びたい方に向けて、初学者から実務者まで役立つおすすめ書籍をご紹介していきます。

おすすめ書籍(初学者から中級者)

これから生物統計学を学ぶ方に向けて、初学者から中級者まで幅広く活用できる書籍をご紹介します。統計学の基礎から、医療分野で頻繁に使用される統計手法までを体系的に解説した書籍を中心に取り上げます。

医学への統計学 第3版(統計ライブラリー)
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医学への統計学 第3版 (統計ライブラリー) [ 古川 俊之 ]
価格:5,500円(税込、送料無料) (2025/8/17時点)


生物統計の入門書として定評のある一冊。統計の基本から、t検定・カイ二乗検定・相関係数などの代表的な手法まで、医療データを用いて丁寧に解説されています。各統計手法に具体例で解説しているため、どのような場面で統計学の知識が活かせるの理解ができるおすすめの書籍となります。また、著者の丹後俊郎さんは他にも多数の生物統計学に関する書籍を執筆されており、そちらもぜひ併せてご覧いただきたいおすすめの書籍です。
  • 対象レベル: 初学者から中級者
  • 特徴: 具体的な医療データを用いた丁寧な解説
新版 実用SAS生物統計ハンドブック
様々な統計解析についてSAS、Rでの実装方法が含まれています。具体例も医薬系のものが多く、数理的な理論も丁寧に解説されているので、統計解析手法の勉強においても重宝できる書籍かと思います。
  • 対象レベル: 中級者
  • 特徴: SAS、Rといった統計解析ソフトウェアでの実装方法とともに統計手法について解説
統計学入門
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統計学入門 (基礎統計学) [ 東京大学 ]
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統計学の教科書として非常に優れた書籍です。大学の基礎課程に相当する内容が体系的にまとめられており、初学者にも理解しやすい構成となっています。統計学の学習を始める際の入門書として、特におすすめできる一冊です。
  • 対象レベル: 初学者
  • 特徴: 統計学に関する基礎的な知識が収録されている書籍

おすすめ書籍(実務者)

生物統計家として実務に携わっている方、あるいは今後その道を志す方々に向けて、有益な書籍をご紹介いたします。

カエル教える 生物統計コンサルテーション
実務に携わる生物統計家にとって非常に実践的な一冊です。臨床研究の現場で生じる「ちょっとした疑問」や「もやもや」を、統計の専門家と一緒に考える対話形式で解きほぐしていく構成となっています。統計理論だけでなく、研究者とのコミュニケーションやコンサルテーションの視点も盛り込まれており、現場での応用力を高めたい方におすすめです。実務者の悩みに寄り添う、温かくも鋭い一冊です。
  • 対象レベル: 実務者(特に臨床研究に従事している生物統計家)
  • 特徴:実際の臨床現場で想定される統計家の疑問を対話形式で解説

その他(おすすめ文書)

書籍ではありませんが、生物統計家として実務を携わっている方には一度は読んでほしい文書です。

ICH-E9 臨床試験のための統計的原則

統計学の応用において重要な国際的ガイドラインであ、ICH E9(R1)は、臨床試験における「推論の枠組み(Estimand)」を定義し、試験設計・解析・解釈の一貫性を高めるための指針です。統計的知識だけでなく、規制科学の視点も身につけたい方にとって不可欠な文書です。

対象レベル: 実務者(臨床試験に携わる方)
特徴: 国際的な規制と統計の接点を理解するための文書
リンク:https://www.pmda.go.jp/int-activities/int-harmony/ich/0031.html

医薬品評価委員会の成果物

製薬協DS部会が公開している成果物は、生物統計家にとって実務に直結する貴重な情報源です。統計解析計画書の標準化、推論の枠組み(Estimand)への対応、治験データの品質管理など、現場で求められる知識と実践的な指針が網羅されています。特に製薬業界やCROで働く統計担当者にとって、規制対応や社内教育にも活用できる内容が多く、信頼性の高いリファレンスとして強くおすすめします。
対象レベル: 実務者(臨床試験に携わる方)
特徴: 実務レベルの知識と実践的な指針を示してある多くの文書
リンク:https://www.jpma.or.jp/information/evaluation/results/allotment/results02.html#%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B9%E9%83%A8%E4%BC%9A

まとめ

生物統計学は、単なる数式の世界ではなく、医療や生命科学の現場で「意味ある結論」を導くための道具です。今回ご紹介した書籍は、理論・実践・規制の3つの視点から統計を学ぶための優れた教材です。目的やレベルに応じて、ぜひ手に取ってみてください。

ABOUT ME
tomokichi
外資系製薬会社で生物統計家として働ている1児のパパ。生物統計家とは何か、どのようなスキルが必要か、何を行っているのかを共有していきたいと思っております!生物統計に関する最新情報を皆様にお届けすべく、日々奮闘中です。趣味は筋トレ、温泉巡り、家族と散歩。