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雑談~2025年度統計関連学会連合大会に参加したお話~

はじめに

今回の記事は雑談ということで、2025年度統計関連連合大会に参加してきた感想を淡々と記載していこうと思います。自分が今回参加した講演のみの所感となりますので、興味がありましたら見ていただけますと幸いです。

統計関連連合大会って?

そもそも統計関連連合大会とは何かについて説明していこうと思います。統計関連学会連合は、応用統計学会、日本計算機統計学会、日本計量生物学会、日本行動計量学会、日本統計学会、日本分類学会の統計関連6学会からなる学会連合であり、統計科学の普及・発展を目的とする。そのため、学会連合として次のような各種共同事業を推進するものとなっております。

  1. 統計科学に関する学術的な大会あるいは会合の開催
  2. 統計科学に対する社会からの諸要請への対応
  3. 統計科学の重要性に関する対外的情報発信
  4. 統計関連諸学問分野の普及
  5. その他,連合の目的を達成するために必要な事業

毎年9月ごろに開催されており、様々な分野(数理統計、医学統計、機械学習、軽量経済等)の統計学に関する演題が発表されております。

参加してきた所感

自分が参加したのは1~3日目でした。理由としては、医学統計分野の講演がその日に集中していたためです。ここから2日目、3日目の講演から感じた自分の所感等を述べていきたいと思います。

1,2日目

1日目はがん臨床試験におけるサロゲートエンドポイントの統計的検証に関する講演でした。(英語での発表だったので、ついていくのが大変でした。。。)最終的な生存などのエンドポイントの代わりに、より早期に得られたり、イベントの収集という点でサロゲート(代替)指標を使う意義とその妥当性を統計的に検証する重要性が強調されていました。ジョイントモデリングや媒介分析(mediation analysis)といった手法を用いて、治療効果の直接・間接効果を分解し、意思決定に役立てるアプローチは今後の臨床試験デザインに大きな示唆をあたえるものでした。
2日目は生存時間解析に関する話題が多く、多項対数オッズ積や多値分類モデルを用いた競合リスク回帰といった内容がありました。特に、ベイズ予測モデル平均化法やロバストな階層的ベイズ比例ハザードモデル等ベイズ統計の応用も目立ちました。がん患者の急激な状態悪化(HPD)に関する解析等、臨床現場の課題に直結した研究も多く、統計学が医療現場でどのように役立っているか学ぶ機会でもありました。

3日目

機械学習やメタアナリシスの話題が目立ちました。従来の統計手法と機械学習の融合が進んでいる印象でした。希少疾患などの不均衡データへの対応や、説明可能性の重要性も議論されており、AI時代の統計家に求められるスキルセットの変化を感じました。
また、国際共同治験における部分集団間の治療効果の一貫性評価にベイズ階層モデルを適用する研究や、バスケットデザイン・情報借用といった新しい臨床試験デザインの話題も豊富でした。規制当局(PMDAやFDA等)による臨床試験方法論の変革や、外部対照試験の活用、Project Optimusに代表される抗がん剤開発のパラダイムシフト等、医薬品開発の現場が大きく変わりつつあることを実感しました。

参加してみた所感

今回の大会を通じて強く感じたのは、「統計学が医療・ヘルスケアの現場にますます深く根付いている」ということです。従来の生存時間解析やベイズ統計の進化に加えて、機械学習やAIの導入、さらには規制の改革に対応する柔軟な試験デザイン等、統計家に求められる役割が広がっていると感じました。
一方で、複雑なモデルや新しい手法が増える中で、「説明可能性」や「現場での実装のしやすさ」もますます重要になっていると感じます。そのため、常にアンテナを張りこのような学会にも積極的に参加し、最新情報に触れていくことが重要と感じました。また、このような講演を聴くことで、刺激にもなります。今後も現場の課題に寄り添いながら、統計学により医療の貢献をどのように行っていけるのか考えていきたいと思いました。

ABOUT ME
tomokichi
外資系製薬会社で生物統計家として働ている1児のパパ。生物統計家とは何か、どのようなスキルが必要か、何を行っているのかを共有していきたいと思っております!生物統計に関する最新情報を皆様にお届けすべく、日々奮闘中です。趣味は筋トレ、温泉巡り、家族と散歩。