CTD(コモン・テクニカル・ドキュメント)徹底解説

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医薬品の開発から承認に至るまでのプロセスは、膨大な試験データや品質情報を整理し、規制当局に提出することから始まります。しかし、かつては国ごとに申請様式が異なり、同じデータを複数の形式で作成しなければならない非効率さが大きな課題でした。こうした背景から、国際的に統一された申請様式として誕生したのがCTD(コモン・テクニカル・ドキュメント)です。
CTDは、日米欧を中心に世界標準として採用され、現在では日本でも承認申請の必須様式となっています。本記事では、CTDの目的や構成を詳しく解説するとともに、日本独自の特徴や実務上のポイントについても触れ、図解を交えて理解しやすく整理します。
CTDとは何か
CTD(Common Technical Document)は、医薬品承認申請に必要な技術資料を国際的に統一した様式でまとめた文書です。2000年にICH(日米EU医薬品規制調和国際会議)で合意され、2003年から日本でも先発医薬品の承認申請に義務化されました。
- 各国で異なっていた申請様式を統一し、国際的な申請効率化を実現
- 審査の迅速化:審査官が共通フォーマットでレビュー可能
- 透明性と一貫性:品質・非臨床・臨床情報を体系的に整理
CTDの基本構成
CTDは5つのモジュールから成り立ちます。
- 第1部(モジュール1)・・・申請書など行政情報、添付文書に関する情報で、各地域に特異的な文書も含まれる。
- 第2部(モジュール2)・・・CTDの概要で、品質や臨床などに関する全般的な概略の情報。
- 第3部(モジュール3)・・・品質に関する情報
- 第4部(モジュール4)・・・非臨床試験報告書
- 第5部(モジュール5)・・・臨床試験報告書
各モジュールの詳細と具体例
Module 1:地域別情報
- 内容:申請書、添付文書、GCP適合性資料、製造販売業者情報など
- 特徴:国ごとに異なる。日本では「申請書様式」「添付文書(医薬品インタビューフォーム)」が独自。
「添付文書」:警告、禁忌、使用上の注意
「製造販売承認申請書」:薬効分類、効能・効果、用法・用量
Module 2:サマリー
- 内容:Module 3〜5の要点をまとめた総括。審査官が最初に目を通す。
- 構成:
- 2.3 品質総括資料
- 2.4 非臨床総括資料
- 2.5 臨床総括資料
「臨床総括」:主要治験のデザイン、主要評価項目、統計解析結果
「品質総括」:原薬の合成経路、規格値、安定性試験の要約
Module 3:品質情報(Quality)
- 内容:原薬・製剤の品質、製造方法、分析法、安定性試験
- 重要性:医薬品の「ものづくり」の信頼性を保証
安定性試験データ(温度・湿度条件下での分解率)
原薬の合成経路図
製剤の組成表(賦形剤、添加剤)
Module 4:非臨床試験報告書
- 内容:動物試験による安全性評価
- 構成:
- 薬理試験(作用機序)
- 毒性試験(急性・慢性毒性、発がん性、生殖毒性)
- 薬物動態試験(吸収・分布・代謝・排泄)
薬物動態:血中濃度推移グラフ
ラット急性毒性試験:LD50値
イヌ慢性毒性試験:臓器重量変化、病理所見
Module 5:臨床試験報告書
- 内容:人での有効性・安全性データ
- 構成:
- 治験計画(Phase I〜III)
- 有効性評価(主要評価項目、統計解析)
- 安全性評価(副作用、重篤有害事象)
安全性:副作用発現率、重篤有害事象一覧
Phase III試験:二重盲検比較試験の結果
有効性:主要評価項目(例:血圧低下量等)
日本独自の特徴
細かい規定:フォントサイズやページ構成まで規定
Module 1の独自様式:申請書、添付文書、インタビューフォーム
電子化(eCTD):PMDAへの提出は電子形式が標準
まとめ
CTDは「医薬品承認申請の世界標準様式」であり、5つのモジュール構造を持ちます。日本ではModule 1に独自様式が存在し、電子化(eCTD)も進展しています。各モジュールには具体的な記載例があり、品質・非臨床・臨床の情報を体系的に整理することで、国際的な医薬品開発・承認の効率化に大きく寄与しています。











